デキる人の見抜く力

斎藤一人 愛は勝つ

え~、「悟りの話」をします。
悟りの前に「仕事のコツ」教えるね。
一人さんあまり仕事の話をしないんだけど、
仕事するとね、上手なの。
ホントに仕事じょうずなの。
だから、納税でも日本一になっちゃたりするんだけど、
あんまり仕事の話しないの。
で、今日は珍しく仕事の話をしたいからね。
渓流釣りやったことある人いる?
山の上の方へ入って行って
イワナ釣ったりするのね。
それでね、山の中かき分けて、
ほんとにすごいとこ滝のとことか
死んじゃうようなとこ行くんだよ。
それで、イワナ釣ってくるんだけど、面白いの。

それでね、仕事のコツってね……
何で俺うろうろしているかと言うと暑いの(笑)
それでね、イワナって用心深いの。
イワナって魚ね、
シャケのちっちゃいみたいのね、
用心深いからね隠れてるのね。
日蔭とか岩の中に隠れて2日も3日も出てこないの。
それぐらい用心深いのをエサをつけて釣るの。
で、何が言いたいかと言うと、面白いんだって言いたいの。
イワナ釣りの面白さを教えてくれると、
はまっちゃうらしいのね。
で、細い糸でイワナに見つからないように
釣るんだけど……
仕事の面白さを教えてくれる人がいないんだよね。
仕事って面白いんだよ。
俺、面白くてしょうがないんだよ。
わかるかい。
自分がやっているお店、
イワナ釣りだと思うと
こうやってお客さんが見て、
自分の店をお客さんがみてどう思うだろうかとかね。
お客さんって中から来ないんだから、
外から来んだから、
外から自分のお店を見たり、
入りたくなるお店だろうか?とかね、
入ったお客さんがまた来るには
どうしたらいいだろうか?って
一所懸命考えると、ものすごく面白いの。
イワナ釣りって、一所懸命やるけど
イワナ迷惑してんだよ?
考えたことある?
人が迷惑するようなことは一所懸命やるのに、
商売って、たとえばね。
言葉悪いんだけどさ、
商売は、正しくはね、
取った上にまた取れるのが正しいんだよ。
ここだって、俺たちお金払うよね。
今日、パーティーやるからってお金払ったよね。
でももう一度やるって言ったって、
もう二度と来たくないというと
二度はお金は取れないよね。
わかる?
ほんとうに愛されてる仕事って、
何回でも取られるんじゃなくて、
友達まで連れてきちゃうんだよね。
だから、どうしたらお客さん来てくれるかな?って考えると、
ものすごく面白いんだよね。
ほんとうは仕事は面白いんだよね。
で、面白いことを面白くないと思っちゃってんだよね。
だけど、俺はものすごく面白いんだよ。
イワナ釣りより面白いんだよ。
サッカーより面白いんだよ。
別に、球だって喜んで、
球入れたって球が喜んでいるってことはないんだよ。
だけど、お客さんって、
気に入った店にくると
喜んでまた来てくれるんだよね。
人を喜ばすことに何で一所懸命にならないんだろう?
何で、みんな面白くないと思っちゃうんだろう?
サッカー面白くて、
イワナ釣り面白いのに、
何で自分の仕事は面白くないんだろう?
ほんとは面白いんだよねって。
それを言いたいのね。
仕事の面白さがわかったら、
誰でも成功するの。
さっき、お手紙いただいた人がね、
デザイン関係の仕事をしているのね。
デザイナーなんだけど、
そこで勤めているんだけど
そこのチーフの人と合わないらしい。
何か、自分のデザインをみんな否定されちゃうから、
会社辞めるって言ってたの。
でも、それじゃ、それじゃダメなの。
なんでかというと、ゲームだと思って、
このチーフが喜ぶデザインって何だろう?
って、自分で考えるの。
魚釣りと同じなんだよ。
わかるかい?
自分がめめず嫌いだったって、
相手がめめず好きならめめず付けるだろう?
自分の好きなのがね、
わたしハンバーグが大好きとかったって、
ハンバーグ、魚は食わないことなってんだよ(笑)
相手がね、相手が喜ぶものはなんだろう?
ってじーっと考えてて、
相手が喜ぶもの、出す。
で、それが、ゲームなの。
北島三郎っているでしょ?
あの人がね、船村徹さんのお弟子になったときね、
お弟子さんがいーっぱい、いるなかでいつもね、
一番最後なんだって、お稽古つけてもらうの。
で、ちょんちょんちょんってやって、ハイ終わり。
いつもね、ほとんどお稽古つけてもらえなかったの。
でもある日ね、船村徹先生が
好きな歌い方ってどんなんだろう?
どういう歌い方したら、
喜んでくれるんだろう?って考えて……
ものすごくクサく、
♪ぃやぁ~ぶぅれ~しとえに~しゃん~
ものすごくね、クサ~く歌ったんだって。
そしたらね、船村先生が「おまえ、うまくなったな」(笑)
それから、お稽古つけてもらえるようになった。
それで、歌もつくってもらえるようになったらしいのね。
でね、自分の上司の、好みくらいわかんないとダメなの。
で、それが修行なの。
人間ってね、ふたつしか興味ないの。
ひとつは、『自分のためになること』
もうひとつは、『面白いこと』
一番いいのは、面白く
自分のためになる話をしてくれたら、
大概は聞いてくれるんだよ。
わかるかな。
チーフに合わせたり、
そういうクセつけてくと、
グルっとこうやって見渡すと、
この人たちどんなデザインが
好きだろうってわかるようになる。
嫌だと言う前に、
自分の会社で上司がいたりすると、
この上司が好きなことは何だろう?
と一瞬のうちに見抜くゲームなの。
それを、ヤダってしているの。
何か上司におべっか使ってるみたいで
嫌だという人いるの。
それは、そうじゃないよ。
上司のことが分かるなら
同僚のことも分かるんだよね。
部下が喜ぶことだって分かるんだよね。
誰にでもみんなが喜ぶことをすりゃいいって、
上にばっかし喜ぶことをしてっから、
性格悪いって言われんだよな、って。
でも、見抜く訓練だと思てりゃ、
上はこう言えば喜ぶし、
横は、下はこう言えば喜ぶ。
なんでもコツじゃない。
魚釣りでも鯛るときと
フナ釣るときと違うじゃん。
だけど、おしなべて言えることは、
大概が自分の好きじゃないことだよな。
わかる?
俺たちがおいしく食べてるものと、
よそのものと違うよね、って言いたいの。
だから、商人ってね我をなくす修行だよ。
商いやってると、
ぱ~っと見ていろんなことがわかるようになってくる。
修行なの。
だから、永平寺に3年いくよりね、
3ヶ月あきんどやったほうがね、
修行になるよ(笑)
で、うまくいかないのは、
相手を見抜けないの。
たいがいの人はね、北島三郎も
「俺はこういう歌い方がいいんだ。
俺はこういう歌い方が好きなんだ」
でも、その時は売れていなかったの。
船村さんに合わせたから売れた。
わかるかい、パッと合わせられるの。
そのぐらいのことが
サッサとできるようになった人間が、
初めて「こういうものです」って
自分のものを打ち出したとき
受け入れてもらえるんだよ。
周りが受け入れてくんないようなもの出してて、
個性だ、個性だ、って無茶苦茶だよ。
わかるかい?だから、
ほんとは商売って面白いんだよ。
魚釣りと同じと思うと楽しくてしょうがないの。
だから、俺がいちばん辛い言葉は、
一人さん、も仕事辞めたらって言うんだけど、
俺は仕事をしてたいんだよ。
絵描きと同じで、絵描いていたいんだよ。
もう、絵を描くのを辞めたらって困るんだよ。
それぐらい、仕事って面白いんだよ。
嫌な上司やなんかいたら、
こいつ喜ぶことって何だろう、って
ずっと考えてると面白いんだよ。
手玉に取るように、
ころころやっつけられるの。
やられちゃってんだよな、って……
(続く)